鈴木たろう。赤坂ドリブンズ所属のMリーガーだ。
「ゼウスの選択」とまで言わしめた、その打ちスジはまさに神懸かり。卓上全てを見通している打牌選択にシビれるばかりだ。
そんな鈴木たろうの解説を本記事で行っていく。たろうの麻雀人生や雀風に興味のある方はぜひ読んでいただきたい。
基本プロフィール
生年月日:1973年10月4日
出身地:茨城県水海道市
血液型:B型
鈴木たろうという名前は本名ではなく、麻雀のときにだけ使ういわば「雀名」。
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麻雀との出会い
麻雀にとりつかれた学生生活
鈴木たろうが麻雀に初めて出会ったのは小学生の頃。父親が麻雀を打っているのを後ろから見て、たまに牌に触れるといったところだ。
中学生になる頃から徐々に友人らと卓を囲むようになり、高校で部活を引退してからはひたすら麻雀に没頭する生活を送るようになる。
結果として大学受験は失敗し浪人。だが浪人の間も麻雀から離れるわけもなく、日々麻雀を打ち続けていた。
なんとか1年の浪人の後、高千穂大学へ進学するも大学での勉強に身は入らず、雀荘でバイトをしながら、経営研究会という部活にだけ出ていた。
当然、大学を卒業できるわけはなく4年生時に中退。一度は実家に帰ったものの、なんとなくまた東京に戻った。
講師役の請け負い
その時に一つの電話が鳴った。大学時代に通っていた雀荘のオーナーだった高橋純子プロ(日本プロ麻雀棋士会所属)からの電話だった。
高橋プロは1997年、女流選手のための団体として、日本麻雀愛好クラブを創設。その選手達の麻雀講師役としてたろうに白羽の矢が立ったのだ。これを引き受けたたろうは麻雀業界への一歩を踏み出した。
さて講師役を請け負ったたろうではあったが、それまで麻雀の勉強などしたことがなかったため、麻将連合の育成会に入り勉強することにした。
入会当時は麻雀の用語も分からず、点数計算の問題も「役なしチョンボ」と書くほどだったが、そこで学んだことがたろうの麻雀観に影響を及ぼす。
それは麻雀は数字で考えられるということ。それまでのたろうは感覚的に麻雀を打っていたが、育成会での数学的な講義をきっかけに麻雀を理で打つように変化していった。
そして麻雀を学んでいる中で、たろう自身も麻雀の試合に出たいという欲が芽生え始める。
もともと女流選手の受け皿として作られた日本麻雀愛好クラブだったが、男性選手も加入できるように変わり、名称も2000年には日本プロ麻雀棋士会となった。
ここにたろうも参加するようになり、1997年、24歳で麻雀プロ・鈴木たろうが誕生したのだった。
プロ入り後の活躍
たろうは出場できる大会には全て参加し、名を上げていくようになる。最高位戦などと合同で開催していた研究会「山口組」*1でも中心となって活動。
2000年には現Mリーガーの村上淳、小林剛と「オカルトバスターズ」を結成し、デジタル派の急先鋒として活躍していた。
そして、2003年、第15期最強戦で初のビッグタイトルを獲得を果たした。
しかし、たろうが所属していた日本プロ麻雀棋士会は大きい団体ではなく、たろうはその活躍にも関わらず、それほど表舞台で目立ってはいなかった。
その頃からたろうは団体の移籍を考え始める。当初は最高位戦日本プロ麻雀協会へ移籍を考えていたが、上位リーグからの編入という希望は叶えられず。
日本プロ麻雀協会ではB2リーグへの編入を提案されたため、そちらへ入会を決意する。
こうして2005年に日本プロ麻雀協会の第5期に入会したたろうは、2005年にB2リーグ、2006年にはB1リーグをそれぞれ1年で昇級し、ストレートでAリーグ入り。
勢いそのままに2007年、第7期雀王決定戦に進出。この年は雀王には届かなかったが、2009年に第9期雀王を獲得。編入に値するだけの活躍を見せた。
また、2013~2015年にはなんと史上初の雀王3連覇を達成。協会最強のプロとして君臨するようになった。
そしてMリーグ2018ドラフト会議で3巡目指名を受け、赤坂ドリブンズのMリーガーとなる。
最高位戦への移籍
2020年11月、たろうは日本プロ麻雀協会から最高位戦日本プロ麻雀協会に移籍した。
詳細については上記の動画を見ていただきたいが、日本プロ麻雀協会でA1リーグから降級したのを切欠に移籍を考え始めたという。
降級したにも関わらず移籍というのは、もちろん格好の良いことではないと理解した上で、麻雀プロとしてトップリーグに所属することで活躍の場を増やしたいというのが1点。
また、雀王を獲得してもプロとしての評価はそれほど上がらないかもしれないが、ここから最高位を獲得するようなことがあれば、自身の評価も上がるのではないか、という野心もあっての移籍のようだ。
最高位戦でのたろうの活躍にも期待しよう。
チームメイト
村上淳
手を長くメンゼンで持ち、リーチで高打点を作る。そのリーチの強さから「リーチ超人」と呼ばれる。
園田賢
できることを全てやる、サボらない麻雀。手牌が悪いときほど、技が見られて面白い。
丸山奏子
ドリブンズの育成枠。思い切りの良い麻雀を打つ。Mリーグでの初めての登板で、アガり牌を見逃して4000-8000をツモってトップを取った半荘が印象に残る。
Mリーグでの活躍
Mリーグ初年度の2018年、たろうはレギュラーシーズン9位の+30.1ポイントをマーク。
この数字は平凡だったものの、ファイナルシリーズで覚醒。10試合で+339.2ポイントとぶっちぎりの個人スコア1位をマークし、チームを優勝へと導く。
2019シーズンは-125.6ポイントで29人中の18位。今ひとつの成績でチームもレギュラーシーズン敗退となった。
2020シーズンは+6.5ポイントで30人中の14位。セミファイナルでは+58.4ポイントと全体5位の成績を残し、チームをファイナルへ導く。ただファイナルではチームは4位に終わる。
2021シーズン、+132.0ポイントで32人中の12位となりチームの稼ぎ頭として活躍するもレギュラーシーズン敗退となった。
いずれのシーズンも安定した活躍を見せているため、今後の活躍も期待したい。
個人成績
2018シーズン
レギュラーシーズン:+30.1
ファイナル:+339.2
チーム成績
レギュラーシーズン:4位
ファイナル:優勝
2019シーズン
レギュラーシーズン:-125.6
チーム成績
レギュラーシーズン:7位敗退
2020シーズン
レギュラーシーズン:+6.5
セミファイナル:+58.4
ファイナル:-38.3
チーム成績
レギュラーシーズン:4位
セミファイナル:3位
ファイナル:4位
2021シーズン
レギュラーシーズン:+132.0
チーム成績
レギュラーシーズン:7位敗退
鈴木たろうの雀風
私が麻雀プロのなかで最も天才ではないかと思う男。それが鈴木たろうだ。
ただMリーグという場は、そもそもトップタイトルを取りまくっているような天才達の集まりである。その中でも、何故鈴木たろうが最も天才であると考えるか?
それは「鋭い読み」と「自分の読みと心中できる強いメンタリティ」を持っているからだと考えている。
鈴木たろうは自身のYouTubeチャンネルを持っているが、そこで自身の麻雀検討配信を行っている。
時たま、それを見ることがあるのだが、プロというものはこれほど場況を深く読んでいるのか、と感嘆を覚える。
その読みの深さが出た1局がある。Mリーグ2019、2月4日の試合だ。下記に動画を載せておく。
萩原プロが形テンを取ろうと粘って、雀頭の発をトイツ落としし始めた。その後、鈴木たろうは発を引いて発単騎の役なしテンパイに。
トップ目のため、リーチをかけるのはリスクも高いが発がトイツ落としであることを読み切って、リーチ。結果は脇から萩原に合わせ打たれた発を打ち取ってのアガり。格好良すぎる。
まず萩原が発トイツ落としだろう、と読んだところが素晴らしいが、もっと素晴らしいのはその自分の読みを信じてリーチをかけたところ。
もし、このリーチが失敗して負けにつながったら・・、と考えてしまうのが人情というもの。ましてやトップ目の状況。
それでもブレることなくリーチを打てるのが鈴木たろうの強さだ。
その読みの根本に存在するのはアガりへの執着心。これが鈴木たろうの読みをよりいっそう尖らせている。
以前、おしえてパイレーツというYouTubeの番組の第6弾で、小林剛プロが鈴木たろうの思考を聞いたときがあった。それが下記の動画だ。
手牌が5枚バラバラの字牌を持っていて4シャンテンのところから、まだアガる気持ちがあったという話を聞き、ある種恐ろしさを感じたのをよく覚えている。
逆にアガりへの気持ちが強すぎたために踏み込みすぎてしまう局面も見られるが、やはりアガりへのこだわりが強いというのは見ていて非常にワクワクする。
アガりへの執着から生まれた、読みとそれを信じ切る心。これこそがゼウスの選択なのだ。
神域Streamerリーグ
人気Vtuberである天開司が企画した、麻雀プロの監督と配信者のチームによるリーグ戦「神域Streamerリーグ」。
このリーグ戦の監督の1人に鈴木たろうが選ばれている。麻雀ファン、VTuberファンはこちらのイベントもチェックだ。
他のMリーガーの記事はこちら!
Mリーグを戦う32名のMリーガーについて、解説記事を書いている。興味のある方は是非こちらもご覧いただきたい。
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