麻雀における永遠のテーマの一つ。それは「鳴く」か「鳴かない」かです。麻雀における鳴きの行為は麻雀プロであっても難しいです。
実際、日本最高峰の麻雀プロリーグのMリーグであっても、副露率は30%近い人から10%を切るような人まで様々です。
しかし、鳴いているから強い、鳴かないから強いということはなく、どちらのスタイルであってもきっちり勝っている人がいるというのもまた事実。
なぜ麻雀では鳴く強い人と鳴かない強い人がいるのか。自分なりに考察してみたいと思います。
「鳴き」とは
麻雀における「鳴き」とは相手の捨てた牌をもらって、自分のメンツを作ることができることです。チー・ポン・カンの3種類があります。
チーは自分の上家からのみ、ポン・カンは全員から行えます。鳴きでメンツを作った場合には手牌の横にそのメンツをさらすようにします。
鳴きのメリット・デメリット
メリット
鳴きの最も大きなメリットは自分のツモだけで4メンツ1雀頭を作るよりスピードが速いということです。
厳密に言えば違いますが、チーの場合は自分と上家でツモが2回、ポンの場合はツモが4回あるようなものです。そう考えればアガりまでの道のりは格段に短いことは想像に難くありません。
この相手を上回る圧倒的な速度こそが鳴きの最大のメリットといえます。
デメリット
鳴きがメリットだけなら副露率の高い人が強い、ということになります。しかし、もちろん鳴きにもデメリットは存在します。
デメリットの一つは鳴くと成立しない、もしくは翻数が下がる役があるということ。鳴くと成立しない役の代表例は「リーチ」です。リーチは以前も自分のブログで書きましたが、現代の麻雀における最強の役です。
リーチさえかければどんなに悪い手でも一発や裏などで一気に手が高くなることもあります。これが使えないことが鳴きの最大のデメリットといっても過言ではありません。
また鳴いたら翻数が下がる役といえばチャンタやホンイツなどでしょうか。これらは鳴くことで翻数が一つ下がります。したがって鳴くと手が安くなりやすいわけです。
鳴くことのもう一つ大きなデメリットは手牌の守備力です。鳴いた牌というのはその局が終わるまで捨てたりすることはできません。
したがって鳴いた後に相手からリーチなどの攻撃を受けると、安全牌に困ってしまうというケースが考えられます。
さらにもう一つ。鳴くことで相手に自分の手牌の一部を公開することになりますから、やはり鳴かない場合よりは自分の手牌の中身を読まれやすくなります。
鳴きのメリット・デメリットは主にこんなところでしょうか。
鳴きは悪いことか?
さて、前項のメリット・デメリットの項目を見ていただけると分かるように、鳴きというのはメリットよりもデメリットが目立つように思います。
実際、初心者のうちはそのデメリットの部分がいろいろと目についてしまい、上手く鳴きができないという人も多いでしょう。
しかし、全く鳴かないというのはまず勝てません。麻雀では毎回毎回リーチがかけられるような手が来るわけではありません。鳴きを使わないと攻めの手数が減り、ジリ貧になってしまう場合がほとんどです。
また、先ほどは鳴きのデメリットをあげつらいましたが、その逆もまた真なり。
例えば、鳴くことで守備力が下がるといいましたが、実戦では鳴くことで相手より先にアガってしまえば守備は必要ありません。すなわち「攻撃は最大の防御なり」ということです。
さらに相手に手を読まれやすくなるといいましたが、逆に自分が仕掛けさえすれば相手は読んでくれるということ。こちらにとっては苦しい仕掛けでも上手く立ち回れば相手を警戒させて手を遅くさせることもできます。
したがってメリット・デメリットはそれほどはっきりとした鳴きを使う/使わないという理由になるわけではなく、あくまでシチュエーション次第でメリット・デメリットのどちらが強く働くかを意識して使いこなすことが重要になるわけです。
なぜ麻雀プロの副露率に差が出るか
先ほどまでの話で鳴きというのは適切に使いこなすことが必要だということが多少なりとお分かりになっていただけたと思います。
ではその適切に使うはずの鳴きにおいてプロであってもこれほどの差が生まれてしまうのは何故でしょうか。
副露率が低いプロの代表はMリーグ・チーム雷電の黒沢咲プロ。黒沢プロはMリーグにおける副露率がおよそ8%。10局に1局鳴くか鳴かないかということは、1試合のうちに1回も鳴かないということもザラです。
一方で副露率が高いプロの代表はMリーグ・U-NEXTパイレーツの小林剛プロ。小林プロは副露率がおよそ30%。10局に3局以上鳴くので、1試合の中で何度もなくシーンがあります。
こんな対照的な2人ですが、小林プロはMリーグの通算ポイント第3位、黒沢プロも第8位と大きく勝ち越しています。これほどの副露率の差があっても両方勝ち越しているというのが麻雀というゲームの難しいところ。
小林プロの場合は積極的に仕掛けてアガりの回数を増やすことで、自分の得点を増やしつつ失点の機会も減らすという攻防一体の鳴きです。
しかも小林プロは場の情報を観察し、鳴いた後にリーチなどを受けても放銃しない鉄壁の防御力を兼ね備えています。これが小林プロの副露率30%を可能にしているわけです。
一方で黒沢プロは仕掛けはしないものの、メンゼンの状態で高打点の手をきっちり作り上げることに長けており、鳴いて複数回アガったときの点数を凌駕する大きな一撃をたたき込みます。
また、自分が攻撃できないときのベタオリの能力に長けており、攻撃しない局でムダな放銃をしません。
このように鳴く・鳴かないにかかわらず、攻撃と守備のバランスが練り上げられていれば鳴きでコツコツアガる場合も、鳴かずに一発ドカンとアガる場合も同じくらいの得点を稼ぐことができるわけです。
ですからどちらのスタイルを選択するかというのは、各々の麻雀プロにとって打ちやすい・考えやすい方法を選べばいいことになります。この結果、麻雀プロ同士の間でも副露率に差が生じるというわけです。
以上が麻雀プロの副露率の差に関する私の考察となります。少しでも参考になった・面白いと思っていただけましたら幸いです。
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