佐々木寿人。KONAMI麻雀格闘倶楽部所属のMリーガーだ。
直近では日本プロ麻雀連盟のG1タイトルの1つでもある鳳凰位を獲得するなど、実績十分だ。
寿人プロの麻雀といえばとにかくリーチをして攻めに攻める麻雀。ついた二つ名は「麻雀攻めダルマ」「魔王」
いっそ潔いほどの真っ直ぐな手順とリーチで攻める麻雀でファンも非常に多い。
本記事ではそんな佐々木寿人の麻雀について解説していこう。
基本プロフィール
生年月日:1977年1月12日
出身地:宮城県仙台市
血液型:O型
学歴:東北学院大学中退
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麻雀との出会い
寿人が麻雀を初めてリアルでプレイしたのは高校2年生。それまでにPCゲームで少し触ったことはあった程度だという。
実際の牌で麻雀をした寿人。そこから一気に麻雀にのめり込んでいく。初めて麻雀をした翌日には、ホームセンターで麻雀牌を自分で買って、そこから2週間でルールをマスターするほどやり込んだ。
大学進学後も麻雀を打ち続け、雀荘でのアルバイトにいそしんでいた。大学の卒業が近づき、就職のために一度バイトを辞めようとした寿人にアクシデントが発生。
学費の振り込みが遅れたことで、大学の授業を受けられなくなり、留年するか退学を余儀なくされてしまった。
ここで寿人は思いきって大学を辞め、麻雀の道に進むことを決意。22歳で最も麻雀のレベルが高いと言われる新宿歌舞伎町の雀荘へ身を移し働き始めた。
この頃のエピソードは漫画「真剣」という作品でも描かれている。フリー雀荘で1000万円貯めたという伝説は今でも語りぐさだ。
そのメンバー時代に自らが麻雀の戦術を書いたのが「ヒサトノート」。プロになってからはそれを元に書籍の出版もしている。
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そして、この雀荘で働いているときに終生のライバルと出会うことになる。その男の名は滝沢和典。
寿人は最初、滝沢を18歳で歌舞伎町の雀荘に1人で来るのに、キレイな麻雀打つため、どこかのお坊ちゃん、と思っていた。
一方で滝沢の方は寿人のことを接客態度の悪い店員だと思っていたという。
そしてここからプロとなる切っ掛けとなる人物に出会う。それが連盟プロの前原雄大だ。
寿人の麻雀を高く評価した前原は、自身が参加している研究会「前原塾」に寿人を誘うようになる。もともとプロに興味の無かった寿人だが、こういう世界もあるのだ、ということを意識し始めるようになる。
そして26歳の頃、荒正義と出会う。当時の荒は疲労を軽減するためや、他のメンバーの打ち筋を研究する目的もあってか、5人での麻雀をよく行っていた。
この研究会で寿人も荒の手筋を学び、荒の柔軟な麻雀を吸収していった。そして前原や荒から度重なる勧誘を受けた寿人はついにプロ入りを決意。
2005年に28歳で日本プロ麻雀連盟22期生としてついにプロ入りを果たした。
ちなみに滝沢はプロ入りが早く、1999年に19歳で連盟にプロ入りしている。寿人の方が年齢としては3つほど上だが、滝沢の方が連盟のプロとしては7年先輩となる。
プロ入り後の活躍
寿人は雀荘で磨いたリーチ麻雀を武器に、入会して1年目に第10期チャンピオンズリーグを優勝。
2009年にはモンド杯、2010年には天空麻雀をそれぞれ初優勝。この後もこれらのタイトルでは勝ち続け、モンド杯は通算4期、天空麻雀は通算6期優勝している。
そして2017年、麻雀グランプリMAXを制し、初のビッグタイトルを獲得した。
2018年にはMリーグでKONAMI麻雀格闘倶楽部から指名を受け、初代Mリーガーとなる。
その後も同年中に麻雀日本シリーズで初優勝を果たすと、2019年には連盟のリーグ「鳳凰位戦」で最高位のA1リーグへ昇級。
2020年には麻雀日本シリーズで2度目の優勝、鳳凰位戦ではA1リーグ1期目で見事第37期鳳凰位を獲得し、2冠を達成。
さらに2021年の鳳凰位戦でも連覇を果たすなど、その勢いはとどまるところを知らない。
放送対局での地和
寿人の有名なエピソードの一つとして、放送対局中に地和をアガったことが挙げられる。
2016年8月11日のAbemaTV「麻雀プロ団体日本一決定戦」でのことで、同卓者は多井隆晴、石橋伸洋、鈴木たろう。
将来のMリーガー3人を相手に回してのこのアガりは麻雀界に永久に語り継がれていくであろう。
結婚
2008年、現日本プロ麻雀連盟所属の女性プロ手塚紗掬と結婚。結婚した当初は、手塚はフリープロとして活動していたところで、2012年から連盟に所属している。
現在では1男1女をもうけており、2児の父親でもある。妻の尻にがっつり敷かれ、しっかり家事もこなしている。
Mリーグでの活躍
Mリーグ最初のシーズンである2018、寿人は個人スコア21人中3位の活躍でエースとして躍動。チームをファイナルへ導いた。
ただファイナルシリーズでは12人中の11位の成績となり、チームは4位に終わった。
Mリーグ2019、このシーズンも2018ほどではなかったが、29人中の10位とまずまずの成績を残す。
チームはセミファイナルに進出するも、チームメンバー全員がマイナスポイントとなり、セミファイナル敗退となった。
Mリーグ2020、この年寿人は最高のパフォーマンスを発揮。個人スコア30人中1位でリーグMVPを獲得。チームを1人でセミファイナルへと運んだ。
しかし、セミファイナルでは-80.8ポイントでチーム内最低成績。チームはセミファイナル敗退となった。
2021シーズン、寿人はレギュラーシーズン初のマイナスポイントを記録。チームは新加入した滝沢・伊達の活躍でファイナル進出を果たすが最終4位に終わった。
個人成績
2018シーズン
レギュラーシーズン:+228.3
ファイナル:-154.1
チーム成績
レギュラーシーズン:3位
ファイナル:4位
2019シーズン
レギュラーシーズン:+80.7
セミファイナル:-53.5
チーム成績
レギュラーシーズン:3位
セミファイナル:5位敗退
2020シーズン
レギュラーシーズン:+494.1
セミファイナル:-80.8
チーム成績
レギュラーシーズン:5位
セミファイナル:5位
2021シーズン
レギュラーシーズン:-77.3
セミファイナル:+4.5
ファイナル:-75.1
チーム成績
レギュラーシーズン:3位
セミファイナル:2位
ファイナル:4位
Mリーグ初役満
Mリーグ初の役満はこの佐々木寿人。
Mリーグ2018、10月26日の1局で渋谷ABEMASの松本吉弘から32000を出アガった。寿人は地和も含めて役満にも愛されているのかもしれない。
チームメイト
滝沢和典
正統派イケメンのプロ。Mリーガーで初のチーム移籍を行った。寿人とはライバル関係にある。
伊達朱里紗
2013年から声優として活躍すると同時に麻雀プロでもある、二足のわらじのプロ。
高宮まり
伊達と同様、麻雀プロとグラビアアイドルの二刀流で活躍する麻雀プロ。
寿人の雀風
もちろん現代麻雀においてのリーチの重要性は麻雀を打ち込んでいる人間なら重々承知であろう。リーチは最強の役なのだ。
しかし佐々木寿人の麻雀は、リーチが強いということを考慮したとしても、おかしなくらいリーチを打ってくる麻雀だ。
Mリーグの通算データを見てみると、リーチ率が28%を超えている。意味が分からない。しかも122試合打ってこれである。
ネット麻雀、天鳳のデータと比較してみよう。天鳳の平均成績を見れば分かるが、リーチ率は20%を割っている。
天鳳はラス回避麻雀なのでトップ取りのMリーグと一概に比べられない。しかし、それにしても28%は異常な値であることは分かる。
Mリーグのなかでも突出して高い。Mリーグの平均のリーチ率は見たところ21~22%程度。同じ格闘倶楽部所属の高宮まりプロが唯一リーチ率が25%を超えている。
それでもリーチ率の差が3%とは結構な差である。それ以外のMリーガーとはさらに圧倒的なリーチ率の差があるわけだ。
ここまでリーチが多いとなると、普通はこれほど勝てない。28%のリーチ率というのはリーチをかけられるときは、どんな状況でもリーチくらいのことはしないと達成できない。
普通はそこまでリーチをかけるとなると、相手が有利なリーチにも何回も突っかかることになり、放銃が増えて結果勝ちに結びつきにくくなってしまうことがある。
しかし寿人プロの放銃率は約11%とMリーグでは平均程度だ。リーチを打つことで攻撃機会を増やし、結果的に放銃も防ぐことにつながっているのだろう。攻撃は最大の防御、ということだ。
また寿人プロは攻撃にフィーチャーされることが多いが、防御も十分な能力がある。
どこまで押して、どこで引くかという自分のなかの基準を決めるのが上手いのであろう。
バンバン押していって、スッと止める。寿人プロは打牌がMリーガーのなかでも早い部類であり、その速度での押し引きには一見の価値がある。
もちろんリーチは毎回成功するわけではないので、やはり相応の数ラスも引いている。しかし、1着を取った回数だけで見ればMリーガーのなかで最も多い。
多少の放銃はアガりの数と打点でねじ伏せる。佐々木寿人の最強の攻めに注目だ。
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