麻雀というゲームで最も強い役は「リーチ」です。
もちろん人によっていろいろな意見があるとは思いますが、使いやすさや一発や裏ドラといった特典もあり、単なる1翻役にとどまらない性能を持っていることは間違いありません。
ですから初心者のうちは、とにかく面前で手を進めてテンパイしたらどんな形であろうがリーチをかけるというところから麻雀を覚えるわけです。
そこから段々と麻雀を覚えるにつれて、鳴きを覚えたり、ダマテンにすることを覚えたり、となっていくわけです。
リーチをかけるべきかどうかを迷うシチュエーションの一つとして考えられるのが「愚形のリーチのみ」です。ダマテンではアガれないのでアガるならリーチをかけるかダマテンのままツモを祈るしかない。
しかし、リーチにいっても愚形はやっぱりアガりにくい。とはいえ折角テンパイしたのにダマテンで何もしないのももったいない。そんな葛藤が愚形リーチのみのテンパイにはあります。
たとえばこんなテンパイ。カン6pのリーのみの手です。
実際のところ、愚形リーのみのリーチというのは打っていいものなのでしょうか。
そのあたりについて私自身の意見をまとめておこうと思います。
・愚形リーチのみはやっぱり厳しい
以前、愚形リーチに関する判断基準について記事にまとめました。
ここでは主に愚形リーチに加えて役やドラがある時を主に取り上げており、愚形リーチのみについては基本的に打つな、とだけ書いています。しかし、実際のところ愚形リーチのみを打ってもいい場面というのも存在します。
結論から申し上げますと、基本的に序盤以外では打たない方が少し得だと考えます。
その序盤についてもしないよりはいい、というくらいで点数状況次第ではやらないこともあります。
以前、ピンフのみについてダマテンにすることがはやっているという記事を書きましたが、それに近い理論ですね。
大会みたいにとにかく点数を叩いたトップを狙わないといけないときは、愚形リーのみでもそれ以上手牌に変化が見込めなければリーチをかけていくべきだと思います。相手にツモられたりして得点を減らすことすら損な場合がありますから。
しかし段位戦のようなアベレージを残す対局、特に天鳳のようなラス回避が非常に重要な麻雀においては、大してアガれないにも関わらず、押し返されたときのリスクが高いです。
ここまでの話は愚形リーチが先制リーチだった場合を想定して書いています。追っかけリーチで愚形リーのみはさらにマズいケースが多いです。
愚形リーのみの平均打点が大体2000点ちょっとくらい。一方で普通のリーチの平均打点は子でも6000点くらいはあります。さすがに2000点で6000点の手に向かっていくのはリスクが高いですね。
トップ取りでも追っかけリーチはあまり得がなく、段位戦のようなラス回避麻雀では
先制リーチですらややリスクがある。これが私の思う愚形リーチのみの基本的な考え方です。
・どういう状況であれば愚形リーチのみで攻めていいか
とはいえ、やっぱりリーチと言われたら相手も警戒せざるを得ないので、愚形リーチのみであっても攻撃手段として機能させることはできます。
そのために必要なのはやはり巡目です。早ければ早いほど愚形リーチのみでも意味があります。さきほど「序盤」という言葉を使いましたが、具体的には6巡目より前くらいと考えています。
序盤で愚形リーチをしてもいいと考えているのは、その巡目であれば相手の手がまだ整う前である可能性が高いからです。10巡目くらいになると大体自分以外の1人くらいはテンパイが入っている可能性が高いです。
序盤にリーチして、この巡目にまでアガってしまえば押し返されたりするリスクはかなり低くて済む、というわけです。
また、序盤にリーチを打てば、まっすぐ打たせないことで相手に鳴かせて平均打点を下げたり、あるいは回ってくれることでそもそものテンパイのチャンスを潰し、押し返されるリスクを下げることができますからね。
一方で中盤以降は相手の手も整っている可能性が高く、打点が見込める相手は押し返してくる可能性が高くなります。そうなったときにこちらはろくにアガれないのに、相手に3900や8000を放銃するリスクを負ってもいいのか、という話になります。
そう考えれば、やはり序盤以外では愚形リーチは打ちづらいですね。ただ、序盤の場合は即リーチにこだわらずとも、手牌の変化を待つこともできますから、そこの見極めも重要です。手牌が変化して、高打点や良形になる牌が4種類程度あれば、それを3~4巡待つという攻撃は成立します。
また、そもそもの話をしてしまうと、麻雀の上級者の人というのは愚形リーチのみのテンパイにならないような手組をされる方が多いように思います。愚形を外して良形変化の牌を持ってみたり、遠い仕掛けですが高い鳴きの手をねらってみたりなどですね。
それでも愚形リーチのみになるときはなります。そんな時にはここに書いてあったことを少しばかり思い出していただければ幸いです。
それでは。