麻雀を強くなるために必要なことの一つとして、自分が打った半荘の牌譜を見直すということがあげられます。いわゆる牌譜検討ですね。
自分が勉強したり、意識していることがキチンと反映されているかどうかを確かめる。
そうすることで、自分の現在の実力を把握し、どこが足りないかを自覚することでさらに力をつけていくことができるというわけです。
しかし、この牌譜検討というのはややもすると、うまく検討できずに時間の無駄になってしまったり、間違った反省をして逆に弱くなってしまうということもあり得ます。
適切な牌譜検討をするためにはどういったことが必要か?私見ではありますが、簡単にまとめてみましたので参考にしていただければ幸いです。
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牌譜検討の心構え
結果論に終始しない
麻雀を振り返るときによくやってしまうのが、「これをこう打っていたらアガっていたなあ」とか「こっちを打っていれば振り込まなかったのに」という反省です。
アガったから、振り込んだからという結果に注目してしまうとその打牌が正しいかどうかというのは検討できません。
麻雀というゲームは牌山や相手の手牌といった自分には分からない情報の含まれています。
ですから場面場面での最善手を打ったとしても、それが結果としてうまくいくかは分からないゲームです。
したがって麻雀の検討ではアガった、とか振込んだとかは関係なく、その一打がその状況における「正しい一打」だったかどうかを反省しなければいけません。
正しい一打でさえあればアガれなかったり、振込んだりしても特に問題ありません。
麻雀はどうやっても振込んだり負けたりするときが訪れるゲームです。
牌譜検討において必要なのは結果に至る過程を評価すること。
結果だけを見て、勝った負けたと一喜一憂するのではなく、正しく打てたかを評価するようにしましょう。
「運が悪かった」で済ませない
「運が悪くて、この局/半荘はどうしようもなかった。」といって反省を終わらせてしまう人を時たま見かけます。
本当にどうしようもなかったという場合もありますが、実際は深くたどっていくと、こうしておけばよかったという箇所が出てくる場合がほとんどです。
たとえば実際の局ではこれを鳴かなかったけど、本当は鳴いた方が良かった。
するとツモ巡が変わるから・・・、ということであったり、この順番で字牌を処理しておけば鳴かれずに済んだから・・・、というようなことがよくあります。
自分の打ち方が変われば、相手のツモも変わり、相手の打ち方そのものも変わってくるはずです。
本当に自分にはどうしようもなかったのか?一打一打検討し直してみることが大事です。
「自分のスタイル」を持ち出さない
自分は攻撃型だから/守備型だからこのように打った、という人もいらっしゃるように思います。しかしそれは反省にはなっていません。
麻雀においてはこの一打以外はものすごく損をするという場面がかなり多く、人によって打ち方が変わる局面はそれほど多くありません。必ず正解となる一打があります。
まず基本的にこういう風に打った方がいいという打ち方が大本にあり、もっと細かい場面で人間の好みでこちらを選んでもよいという局面が出てきます。
まずはしっかりマジョリティの手を覚えて、人によって意見が分かれる場面だけ自分のスタイルを出すようにしましょう。
データを活用する
自分の麻雀を見直すときにもう一つ重要なのはデータを使うことです。和了率や放銃率、副露率などなど、麻雀には様々なデータがあります。
麻雀のデータに関する解説は下記のページを参考にしていただければと思います。
とかく人間というものは印象で記憶が形成されてしまうもの。
最近ものすごく勝っているなあ、と思っていても放銃率が高くて麻雀のバランス的には悪かったり、ということが往々にしてあり得ます。
牌譜検討の際はそういったデータとの比較も有効活用しましょう。
牌譜検討の実践
自分のレベルに合わせる
まず自分が「どのレベルにあって」「どういうことができるようになりたいのか」、そのテーマに対してキチンと取り組めているかで反省を行うべきです。
例えば、「リーチに対して自分がテンパイじゃなかったらオリる」ということを気をつけているときを想像してみてください。
その時にリーチの現物で他の人に振込んだからといって、それを反省することはしません。
まずは「リーチに対するオリが大体できるようになった」と判断できるまで、その点だけを反省してください。
それができるようになったとなれば、そこで改めて「じゃあ、リーチ者以外にも気をつけるように打とう」といった新たに上達のためのテーマを持ち、それに沿って反省する…ということを続けていくべきです。
同じ結果であっても、反省すべきかどうかはその人自身のレベルによって変わります。
最初からあれもこれも、と反省するのではなくて、まずは自分なりにテーマを持って取り組んでみてください。
重要度の高いものから
前項で牌譜検討では「テーマ」が重要だという話をしました。
ただテーマの持ち方についてはある程度順序づけておく必要があります。
重要なもの、すなわち結果に与える影響の大きいものから検討を始めなければいけません。
たとえば序盤の字牌の切り順など、細かいテーマでの反省は影響が小さく、検討する価値が初心者のうちは低いです。
まずは影響の大きいテーマから反省し、その後上達してきたらより細かいテーマに取り組むようにした方が上達は早くなります。その点に気をつけましょう。
本記事では放銃に関してどのように牌譜検討を考えるか例示していきたいと思います。
放銃の検討
最も検討しやすいのは、自分が振り込んだ場面です。
振り込み自体は誰でもやるから仕方のないことです。問題はその振り込みの時に負ったリスクと自分が得る予定だったリターンが釣り合っているか、ということです。
放銃の際、どういった点に着目するかを解説していきます。
自分の手
放銃したときはまず自分の手を見直してみてください。
初心者が放銃率の高くなってしまう原因として最も多いのは、相手の攻撃に対して攻めすぎる、ということです。
リーチにせよ、仕掛けにせよ、相手が攻めてきているときに自分の手が悪いところから放銃してしまうのが、麻雀における最もムダな放銃です。
例えば相手からリーチが来ているのに自分がノーテンなら、少なくともその時点で速さで負けています。そこから攻め返すのであれば、それ相応の理由が必要になってきます。
まず初心者のうちはリーチが来て自分の手がノーテンならオリる、テンパイなら押す、ということを徹底してみてください。これだけでも放銃率は結構改善されるはずです。
中級者の場合
中級者以上(天鳳でいえば特上卓、雀魂なら金の間くらい)になると今度はイーシャンテンでの押し引きを学ぶ必要が出てきます。
麻雀のレベルが高くなってくると、自分が先手を取ったときだけ攻めるという攻撃の仕方では手数が足りなくなってきます。
イーシャンテンでも自分の手がよければ思い切って押し返してくことが必要になってきます。
この場合に気をつけたいのは、自分の手の打点です。リーチの打点というのは子なら6000点、親なら8400点程度です。(とつげき東北著「科学する麻雀」のデータより引用)
これに押し返すのであれば、少なくとも自分の手がその半分よりは高い手であることを基準にしましょう。
つまり、子のリーチであれば3900点以上、親のリーチであれば5200点以上のテンパイになりそうかどうかを目安にしてみてください。
またもうひとつ重要なのは、「テンパイのしやすさ」と「良形テンパイを取れるか」です。
イーシャンテンの状態は自分が得点することが絶対になく、相手だけが得点の機会がある不利な状態です。ですから、すぐにテンパイになりそうな手でないと厳しいです。
また、テンパイしたとしてもそのテンパイ形が愚形だった場合、やはり戦いにくいです。
この2つを総合して考えると、少なくともリャンメン2つのイーシャンテンくらいはいい手でないと、押し返さない方が得なケースが多いと思います。
これを基準に、もっと高い手であればもう少し待ちが悪くても攻め返したり、逆に少し安くても待ちがもっと広ければ、と判断は「打点の高さ」や「待ちの広さ」などを総合的に考慮して決められるように勉強していくわけです。
このあたりは感覚的に処理することが必要になってきますので、1個1個の場面を見ながら自分の中で基準を作っていく必要があります。
点棒状況・局状況
点数が相手より勝っている場合は守り気味に、負けている場合は攻め気味にというのが基本的な考え方です。
例えば自分が点数をかなり持っていて、このままいけばトップで終われそうだという状況なら、先制のテンパイでもリーチをかけないといった感じです。
逆に自分が負けている状況であれば、普段なら攻めないような手牌からでも攻め返していかなければならないこともあるでしょう。
自分の手の情報に、これらを加味して考える必要があるわけです。
相手の手
押し引きの基準のもう一つが「相手の手がどのくらいいいか?」です。
例えば自分の手が安くても、相手の手が安いことを読めれば思い切って攻め返していくことができます。
ただし、相手の手を読むことより自分の手がどうか、ということが最優先です。
なぜなら麻雀というゲームでは相手の手を完璧に読むことはできません。見えない情報より、見えている自分の手を優先してください。
逆に言うと、相手の手について見えている部分については注意が必要になります。
一番分かりやすいのは、ホンイツ、チンイツの仕掛けです。これはある程度アタリ牌が分かりますから、それをイーシャンテンから切って放銃する…なんてことがないようにしないといけません。
また、ドラポンなどドラの見えている仕掛けにも要注意です。明らかに打点が高いことが分かりますから、不用意に攻めてはいけません。
見えていない部分を読む場合は少なくともドラの枚数には注意しましょう。自分がドラを持っていない場合、相手がドラを持っている場合が多いです。
牌譜検討が正しいかを確認する
牌譜検討の心構えでも語ったように、自分だけで検討を続けていると間違った反省につながることもあり得ます。その判断が正しいかどうかを確認することが必要です。
私自身は判断に迷う場面では、データに詳しい麻雀本を見たりしています。
以下のページにまとめているうちの「新科学する麻雀」がオススメです。
また、これは牌譜検討全体にいえることですが自分だけで迷う場合は自分より強い人の意見を聞くのが一番手っ取り早いです。
少なくともその人のいうことを真似していれば、その人と同じレベルの強さにはなれるわけですから。
NAGAの牌譜解析
まわりに聞ける人がいない場合は、麻雀ツールを用いるのがオススメです。最近は麻雀AIの台頭により、AIに回答を求めることができます。
引用元:麻雀AI「NAGA」https://naga.dmv.nico/naga_report/top/
こちらも天鳳の有料ツールではありますが、麻雀AIの「NAGA」に牌譜解析をしてもらえるサービスも出ています。
対局で悩んだ局面について、「NAGAだったらどう打つのか」「この牌はどれぐらい危ない牌なのだ?」と調べたりできますので、本気で検討を行いたい方にはかなりオススメです。
他の検討テーマ
放銃だけでなく、他にも様々な検討のテーマが考えられます。
他に重要だと考えられるのは、例えば
・押し引き
・アガり逃し
などでしょうか。
放銃に関して問題なく牌譜検討ができるようになれば、さらにこういったテーマを追加して牌譜検討を行っていきましょう。
牌譜検討の実例
私自身、日頃の麻雀を牌譜検討して掲載しています。
どのような点に着目して検討を行っているか、こちらも参考にしてみてください。
top3776.hatenablog.com
ただ内容的には中級者以上向けの検討内容となっていますので、その点は注意していただきたいです。
私が牌譜検討の際に心がけていることはおおむねこんなところでしょうか。
私見ではあるので、いろいろと欠けているところはあると思いますが、実力を高めるための有意義な牌譜検討の一助になれば幸いです。
それでは。
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