内川幸太郎。KADOKAWAサクラナイツ所属のMリーガーだ。
麻雀プロを続ける中で引退をも考えた苦労人がMリーガーに選ばれるまでの経緯を解説していこう。
基本プロフィール
生年月日:1981年5月6日
出身地:長野県松本市
血液型:O型
麻雀との出会い
麻雀牌に初めて触れたのは6歳の頃。親戚が集まった時に父親達がやっているのを見て覚えた。
中学生時代はサッカーと勉強に明け暮れ、麻雀はそれほど。高校は県内でも有数の進学校に進学したものの浪人。
ただ、浪人したことが逆に内川を麻雀の道へと引き込むことになる。浪人時代、内川はよく麻雀店に通っていた。(浪人生としてはあまりよくない部類だろう。)
この麻雀店のオーナーから「引退するから店をやってみるか?」と聞かれたのだ。
このときすでに21歳の内川は、なんと大学に進学することを止め、雀荘経営を決意し、麻雀店の経営者となった。
そして経営者になったことが内川をプロの道へと誘う。お店の繁盛のためにはプロになった方が売りが増えると考えたのだ。
内川は24歳で日本プロ麻雀連盟のプロテストを受験。1年の研修期間を経てプロ入りした。デビューしたのは2005年。日本プロ麻雀連盟22期生としてプロになった。
プロ入り後の活躍
ただプロ入りしてしばらくしても内川は結果を出せないでいた。
B2リーグまでは比較的順調にステップアップしたが、そこから上がることができず、タイトル戦でも結果を残せなかった。
ふがいない自分を変えるため、10年経ってもA2リーグに昇級できなかったらプロをやめる、と決意した。
そして迎えた10年目、34歳の内川プロは目標のA2リーグ昇級を決めた。これが転機となり、2016年の第1回麻雀プロ団体日本一決定戦のメンバーに選出された。
この大会は団体ごとに代表選手を出して、どの団体が一番強いかを決める団体戦。内川はここで32選手中2位の好成績。
そして2018年には初のビッグタイトルである第35期十段位を獲得した。
このタイトル獲得が注目を集め、Mリーグに2019年参戦を決めたKADOKAWAサクラナイツから1位指名されることになった。
Mリーグでの活躍
Mリーグに参戦した2019シーズンは個人スコア-33.1ポイントで29人中15位とちょうど真ん中の成績を残す。
レギュラーシーズンでは沢崎が個人5位のスコアを残し、セミファイナルへ進出。セミファイナルでは内川も+69.6ポイントで個人3位のスコアを残すなど活躍。
チームは1位でファイナルへ駒を進めたが、ファイナルではチームメンバー全員がマイナスポイントを記録し4位に終わった。
2020シーズン、内川は躍動。+468.7ポイントで個人2位のスコアを叩きだし、チームをセミファイナルへと引っ張っていった。
内川はセミファイナルでも好調を維持。22人中9位の成績を残し、チームは2年連続ファイナルへと進出。優勝まであと一歩まで迫るも2位でシーズンを終えた。
2021のレギュラーシーズン、内川は今ひとつ成績を伸ばしきれず。-139.7ポイントで32人中の22位という結果となった。
チームは沢崎が個人スコア2位をマークする活躍もあり、6位でギリギリセミファイナルへ進出を果たす。
その後、セミファイナル・ファイナルでは同チームの堀慎吾が獅子奮迅の活躍。ファイナルで沢崎が病欠するアクシデントにも負けず、見事優勝を果たした。
個人成績
2019シーズン
レギュラーシーズン:-33.1
セミファイナル:+69.6
ファイナル:-196.6
チーム成績
レギュラーシーズン:4位
セミファイナル:1位
ファイナル:4位
2020シーズン
レギュラーシーズン:+468.7
セミファイナル:+38.9
ファイナル:+1.0
チーム成績
レギュラーシーズン:2位
セミファイナル:2位
ファイナル:2位
2021シーズン
レギュラーシーズン:-139.7
セミファイナル:+8.0
ファイナル:+29.3
チーム成績
レギュラーシーズン:6位
セミファイナル:1位
ファイナル:優勝
チームメイト
堀慎吾
元は雀荘のメンバーとして働いていたが、その実力の高さから「恐ろしく強いメンバーがいる」と噂を呼んでおり、その評判からプロ入りすることになる。
自分の麻雀に相当の自信を持っており、かなりのビッグマウス。ただそれを豪語するに値するだけの実力を持っていることは間違いない。
雀風としては何でもするタイプで、メンゼンも鳴きも使いこなす。かなり読みの能力が高く、それを信じてかなり踏み込んでいくのが特徴的。
渋川難波
日本プロ麻雀協会所属。直近2022年に団体最高のタイトルである雀王を獲得。
2022現在で最年少となるグランドスラム*1を達成した協会を代表する麻雀プロ。同チームの堀慎吾とはライバル的な関係にある。
岡田紗佳
17歳になる2011年にファッション雑誌「non-no」のモデルーディションに挑み、グランプリを受賞。
雑誌「non-no」の関係者の間で麻雀が流行るようになったことをきっかけに麻雀の勉強を始め、2017年にプロ入り。そこからモデルと麻雀プロを並行して活動している。
まだ若手だがかなり研究熱心であり、解説に一定の評価がある。これからが期待のプロといえる。
内川の雀風
内川の雀風はバランス型かつ対応型。自分の強みを相手に押しつけるというよりは、状況を見ながら器用に押し引きしていくタイプだ。
本人が特に言っているのが「手順」が重要ということ。そこから「手順マエストロ」と呼ばれている。
現代麻雀の絶対手順 (マイナビ麻雀BOOKS) [ 内川幸太郎 ] 価格:1,694円 |
当人はこんな本まで出版するほどである。場を見て正確な打牌を心がけることが大事ということであろう。
Mリーグでの活躍は、2020年レギュラーシーズン2位の成績を残すなどエースとしてチームを引っ張っている。
ただ私自身が内川の試合で一番記憶に残っているのはこれだ。
内川がアガッた対局ではないのだが、この対局が一番印象に残っている。
執念のハネマン見逃し。そこからラス牌の西で四暗刻単騎待ちに放銃。
負け姿ではあったが、そこにプロの美しさを見た。こういうシーンを描けるプロにはやっぱり「持っている」モノを感じる。
麻雀は100回やって100回勝てるゲームじゃない。だからこそ負け方にもプロとしての姿が必要だと私は思う。そこに感動した。
勝つにも負けるにも「華」のある内川。満開のサクラを咲かせるかに注目して見ていこう。
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Mリーグ2021を戦っている32名のMリーガーについて、解説記事を書いている。興味のある方は是非こちらもご覧いただきたい。
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*1:日本プロ麻雀協会の雀竜位、雀王、日本オープンの3大タイトルを獲得すること。