村上淳。赤坂ドリブンズ所属のMリーガーだ。
彼の打ちスジは一言でいえば「リーチ」に集約される。「リーチ超人」と呼ばれるほどのリーチ主体の打ち手だ。
そんな彼の麻雀はどのようにして培われたのか。村上の麻雀について解説していこう。
基本プロフィール
生年月日:1975年4月10日(44歳)
出身地:東京都武蔵野市
血液型:B型
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麻雀との出会い
村上が最初に麻雀に出会ったのは5歳の頃。母方の祖父から麻雀を教わり、小学生のときにはすでに点数計算もマスターしていたという英才教育ぶりである。
中学生のころも麻雀の雑誌を読むなど麻雀に興味はあったが、本格的に麻雀を打つようになったのは高校を卒業後の浪人生時代。
このころ村上は毎日のように雀荘に通い続け、ひたすらに麻雀を打っていたという。ただ、麻雀を打ちながらも勉強はきちんとしていたようで、1年の浪人で早稲田大学に合格している。
大学に合格した後も麻雀付けの毎日を過ごしていた村上。通っていた雀荘のオーナーが最高位戦に所属するプロだったため、大学2年の冬に最高位戦に勧誘された。
そしてプロになることを決めた村上は、1997年に20歳で最高位戦22期生として入会した。同期にはのちに同じMリーガーとなる近藤誠一も居た。
プロ入り後の活躍
村上はプロ入り直後から順調な活躍を見せ、入会からたった4年でAリーグにまで到達する。
この間、牌理塾*1や山口組*2などの勉強会に参加し実力を伸ばしていく。牌理塾には多井隆晴、山口組では鈴木たろう、小林剛、石橋伸洋など、のちにMリーグでしのぎを削ることとなる面々と顔を合わせている。
また2000年には、鈴木たろう、小林剛とともに麻雀誌上で「オカルトバスターズ」というユニットを結成。
当時は主流の考え方であった「流れ論」を斬り捨て、デジタル派としての地位を確立していった。
タイトルは取れないものの、Aリーグで活躍していた村上。しかし、2007年に初の降級を味わう。
翌年の2008年、並々ならぬ覚悟で臨んだB1リーグ。同年に結婚した村上は家族からもらったお守りを胸ポケットに入れて対局。1年でAリーグへの復帰を決める。
このことがきっかけで、村上は対局前胸ポケットに手を当てるのがルーティーンとなっている。
2010年、ついに初のタイトルとなる日本オープンを獲得。そのままの勢いで同年に最高位戦Classicと最高位戦をも獲得し、年間での3冠制覇を達成した。
2014年にはモンド王座戦、最高位戦Classic、最高位戦を勝利し、再びの3冠制覇に成功。一流どころか超一流の実績を残している。
そして2018年に行われたMリーグドラフト会議にて、赤坂ドリブンズから2位指名を受けた。
YouTube配信
ドリブンズ所属村上淳プロと丸山奏子プロの合同チャンネル。2022年4月28日に開設を発表。
4月29日に初配信ということで、これからのチャンネル運営に期待したい。
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結婚と離婚
前述の通り、村上は2008年に結婚。娘と息子、2児の父親になるものの、2015年に離婚している。離婚の原因については語られていない。
離婚後は自身の子どもに会えるのは月に2回。激闘のMリーグの中、子どもと会う日が何よりの癒やしだという。
チームメイト
鈴木たろう
まるで4人の手牌が透けているのではないかと思うような、常人では不可能な麻雀を打つことから「ゼウスの選択」と呼ばれる。
園田賢
できることを全てやる、サボらない麻雀。手牌が悪いときほど、技が見られて面白い。
丸山奏子
ドリブンズの育成枠。思い切りの良い麻雀を打つ。Mリーグでの初めての登板で、アガり牌を見逃して4000-8000をツモってトップを取った半荘が印象に残る。
Mリーガーとしての活躍
Mリーグでは1年目となる2018シーズンにチームは優勝したものの、村上本人は-162.0ポイントと納得のいかない数字だった。
だが2年目には+366.7ポイントで個人2位の成績。実力を見せたものの、チームはレギュラーシーズン敗退となる。
3年目、+122.9ポイントの成績を残し、チームも決勝まで進む。ファイナルシリーズは4位に終わった。
4年目となる2021シーズンは序盤から大苦戦。かなりの運の悪さで-384.1ポイントチームはレギュラーシーズン敗退となった。
個人成績
2018シーズン
レギュラーシーズン:-162.0
ファイナル:+162.1
チーム成績
レギュラーシーズン:4位
ファイナル:優勝
2019シーズン
レギュラーシーズン:+366.7
チーム成績
レギュラーシーズン:7位敗退
2020シーズン
レギュラーシーズン:+122.9
セミファイナル:-81.6
ファイナル:+95.7
チーム成績
レギュラーシーズン:4位
セミファイナル:3位
ファイナル:4位
2021シーズン
レギュラーシーズン:-384.1
チーム成績
レギュラーシーズン:7位敗退
村上の雀風
村上淳プロ(以下敬称略)。「リーチ超人」といわれる打ち手だ。
鳴きを減らし、メンゼンで手を長く持ちリーチ主体に攻めていくスタイルからついた異名だ。
リーチは現代麻雀においては最強の役といって差し支えない。一発や裏ドラなどの偶然役がつき、単なる一翻に収まらない価値があるからだ。
現代麻雀はリーチ麻雀といってもいいくらいだ。
リーチ麻雀最大のメリットは「打点」だ。鳴いた場合の平均打点と、リーチの場合の平均打点を思い浮かべてもらえれば、一目瞭然だと思う。
しかし、リーチばかりではうまくいかないのも現代麻雀。
鳴きを減らしてリーチを多く打つという打ち方は、一歩間違えると現代麻雀の重要な要素である「速度」を軽視した打ち方になってしまいかねない。
鳴きを減らすと速度負けしてしまう場面はどうしても増える。それは手数が減るということに他ならない。その場合、相手のアガりが増えることになりかねず、勝ちに結びつきにくい。
リーチをたくさんかけるだけなら誰でも真似できる。
しかし、麻雀において必要なのは「打点」と「速度」のバランスだ。ややもするとリーチ麻雀というのは「速度」のない、「打点」偏重の打ち方になる危険性をはらんでいる。
また、同じ相手と何回も戦うMリーグのような舞台でリーチに特化した麻雀を打つことはさらに難しい。
攻撃のレンジが通常より狭いことは間違いないので、相手が鳴かれることを気にせず、のびのび打てるという事態を引き起こすかもしれない。
それでも村上淳は強い。なぜ強いのか?
それは経験と努力に裏打ちされた「読みの深さ」。そしてそこから生み出される「鉄壁の守備」が村上淳の強さであると私は考える。
村上淳の麻雀は無駄な放銃がほとんどない。
普通はちょっとした気の緩みで「このくらいは打ってもいいか・・」と放銃してしまうのが常だが、そういったつまらない放銃がない。
そして読みが深く、一牌の後先を間違えない。これが放銃の少なさを支えている。
皆、経験のあることだとは思うが、「打点上昇の種だから」と引っ張った牌がアタリ牌になる。「先に切っておけばよかった」そう思うのもよくある話であろう。
村上淳はその一牌の後先を顔を赤くして常に考えている。リーチの1巡前に危険牌を処理できてしまう、なんてことをよく見かける。
この守備力の高さが村上淳のリーチ麻雀を支えている。
鳴きによる手数の少なさを驚異的な守備力で埋め合わせている。そこから飛んでくるリーチ攻撃。うまい組み合わせだ。
リーチ麻雀という攻撃麻雀は、実際には繊細な守備の麻雀であるということを分かってみていると、また趣深いものがある。
村上淳の守備に目を向けて試合を見てみるのもまた一興であろう。
神域Streamerリーグ
人気Vtuberである天開司が企画した、麻雀プロの監督と配信者のチームによるリーグ戦「神域Streamerリーグ」。
このリーグ戦の監督の1人に村上淳が選ばれている。麻雀ファン、VTuberファンはこちらのイベントもチェックだ。
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Mリーグを戦う32名のMリーガーについて、解説記事を書いている。興味のある方は是非こちらもご覧いただきたい。
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